大判例

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東京高等裁判所 昭和34年(ネ)406号 判決

本件土地賃借権は被控訴人神尾ほか二十三名がこれを共同相続したものであることはさきに説明したとおりであるが、民法第五百四十四条は、当事者の一方が数人ある場合においては、契約の解除はその全員に対してのみこれを為すことをうる旨規定している。被控訴人石川は賃貸借の解除のように将来に向つてのみ効力を生ずるものについては同条の適用はなく、共同賃借人の一人に対する意思表示によつても全員に対して解除の効力が生ずると主張している。しかし、右規定の適用を排除し右のように解すべき根拠はない。かえつて、賃貸借において、特に建物の所有を目的とする借地契約については、他の共同相続人の利益は、地上の建物の所有権を共同相続する関係から、借家契約の場合とは異なり、他の共同相続人が現実に賃貸借の目的物を占有使用していない場合にも保護せらるべきものと解するのが相当であるから、右主張はこれを採用するをえない。

(薄根 元岡 小池)

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